「強く大きな声」、「前に出る声」と指導された生徒の悲劇

あるところに、発声指導に行ってまいりました。思うところを記します。

一般に歌が上手い人の声は、声が前に出る、強く大きな声が出る、というようなイメージがあると思います。

しかし、声を「強く大きく」「前に出して」という発声指導の先生方の一言が、どれだけの音声障害を生んでいるかご存知でしょうか。

どうしてみなさん、そんなに「大きな声」が好きなのでしょうか?

完全に洗脳されています。「大きな声」教です。

現代人の喉は、どんな人の喉も「音声衰弱症」なのだとフースラーは言っています。

文明が発達した代わりに、落としてきてしまったものの中に「声」が含まれます。

必要がなくなると、途端に我々は能力を眠らせます。

例えば、私には盲人の友人がいるのですが、「携帯を持つ前は、友達全員の電話番号を覚えていたけど、携帯が普及してから覚えられない」と言っていました。

YouTubeなどで、テナガザルの鳴き声、など、動物の泣き声を聴いてみてください。

彼らは、言葉を持っていないため、鳴き声に抑制がありません。

「大きく」声を出しているでしょうか?「前に声を飛ばして」いるでしょうか?

ただ発声器官に抑制が無いだけですね。

本格的にボイストレーニング(発声練習)をする前に大切なことは、「ブロックを解く」こと

人の発声器官には、沢山の「抑制ブロック」がかかっています。知らず知らずの間にです。

「発声学を知らない歌の上手い先生」たちが、ブロックを解く前に、発声を教えてしまいます。

発声の先生に、声を「強く大きく」「前に出して」と言われた生徒さんたちは、余計な力みがマックスに達します。

この結果、喉を壊し、失望し、心まで病んでしまうケースは、大変多く存在します。

この様にして、多くの方が、「ボイトレジプシー」、あるいは、「耳鼻咽喉科ジプシー」となってしまうのです。

例えていうとヨチヨチ歩きの幼子に、さっさとしっかり歩け!と言っているのと同じなのです。

酷でしょ?無理でしょ?足を痛めるでしょ?成長を妨げるでしょ?

徐々に育って、いつの間にか力強く歩けるように、走れるようになるのです。

その育て方が、「ボイストレーニングではなく」「近代に抑制された発声器官の解放なのだ」とフースラーは言っているのです。

力んで、大きな声が出るなんて、間違いですよ。

「一発大きな声を出す」のと、解放された発声器官が「伸びやかな大きな声を出せるようになること」とは、次元の違うことなのです。

大きな声以外にも素敵な声は、沢山あるし、大きな声が出るためには、発声器官の仕組みを知って、

「大きな声が出せる発声器官に育てる」行為が必要なのです。

力で押しまかす声、お腹に力を入れて、腹から出せという声。もうやめましょう。

「大きな声」至上主義がどれだけおかしなことを言っているか、指導者の先生方、どうぞお気づきにになってください。

先生方が変わらないと、被害者(声を潰してしまう方)は減りません。

声は、出すものではなく、出るものです。

呼吸法でもないのです、力でもないのです、響でもないのです、難しいことではありません。

発声器官が文明社会で受けた抑制を解除するだけです。

フースラーは、このことを「鍵を開ける」という言葉を使って表現しています。

わかりやすく例えたら、病気を薬で治すのではなく、体の免疫力を向上させる考え方です。

喉の自然治癒力が上がったら、勝手に喉が声を出すための仕事をしますよ!ということなのです。

 

 

というわけで、今回は以上となります。

記事が参考になりましたら、幸いです。

 

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